本当に容量無制限? BackblazeとZipCloudの違い

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最近、容量無制限で使えるクラウドバックアップサービスとしてBackblazeを使っている。料金は年間50ドルで、同種のバックアップサービスの中でもかなり安い。

全然無制限じゃないZipCloud

以前は同じく容量無制限を謳っていたZipCloudというサービスを使っていた。

ZipCloudの使い勝手自体は可もなく不可もなく、不満はそれほど無かった。しかし、UnlimitedPlanのサブスクリプションを購入した後に1.6TBくらいのデータをアップロードしたところ、ある日を境にアップロード処理が停止してしまい、再ができない。2015年の6月〜7月頃のことだった。

ソフト問題かと思いサポートに問い合わせたところ、「規約にある規定を越えた利用をしているからアップロードを一時的に止めている。悪いけどビジネスプランを買ってね!」とのこと……。当時の規約を読むと、

We monitor the usage of our heaviest Unlimited account users, a dynamic margin is calculated based upon averages which, should a user fall into, we may require them to cease backup or move onto a business account.

と確かに書いてあった。

本当に利用者全員が無制限にデータをアップロードできたら採算がとれなくなってしまうことは想像できるので、サービス提供側の言い分は分かる。しかし、それなら初めからUnlimitedPlanという説明にしないで欲しかったとも思う。ググって出てきたブログ記事で自分と同じような事例があったが、自分も全くこの人と同意見である。

You see, to me (and the rest of the world), the word unlimited means “without limit.”
ZipCloud: Unlimited means limited? What a Country! | One Off

下の記事によると、ZipCloudや同社の他のバックアップサービスはあまり評判が良くない。

なお2016年現在、UnlimitedPlanの説明にも「1TBまで」という注釈が付くようになった。前に比べれば少しは改善されたのかもしれない。

なぜ「容量無制限」は衰退しているのか

ZipCloud以外にも「容量無制限」を売りとしたクラウドストレージがいくつかあるが、最近は容量無制限プランの提供を終了するサービスが多い。MicrosoftのOneDriveもその1つで記憶に新しい。

同社によると、一部のユーザーが多数のPCのバックアップや膨大な映画コレクションを保存する目的でOneDriveを利用し、中には平均的ユーザーの1万4000倍に相当する75Tバイトものデータをアップロードする人もいるという。

MicrosoftはOneDriveをこうした一部のユーザーのためのバックアップ場所としてではなく、多くのユーザーに高品質のプロダクティビティおよびコラボレーション体験を提供 するためのサービスと考えているため、今回の変更に踏み切ったとしている。

Microsoft、「OneDrive」の無料容量縮小ヘ “容量無制限”は終了 - ITmedia ニュース

記事にも書かれているように、1人のヘビーユーザーが平均的なユーザー1万4000人分の容量を好きに使えてしまうと、どれだけ普通のユーザーを集めても採算に見合わなくなってしまうのが原因なのだろう。クラウドストレージは随分安くなったとはいえ、TBクラスのデータを好き勝手に保存できるほどはまだ安くなっていないのである。

Backblazeは本当に容量無制限だけど回線は遅い

その点でBackblazeは素晴らしく、今のところ本当に容量無制限に使えている。

筆者のBackblazeの使用状況が表示されている。

回線速度は遅めで、筆者の場合、1.6TBのデータを全てアップロードするのにおよそ30日かかった。(それでも1日53GBアップロードしていることになるのだけど!)

でも、自分の使用用途からすればそれでも問題はない。なぜなら既にローカル上にバックアップデータは存在していて、その更なる保険としてクラウドを使いたかったからだ。別に今すぐバックアップされなくても安ければそれで良い。

AmazonS3よりも低価格なストレージサービスも

ちなみに、Backblaze社は同社の技術を使ってAmazonS3に似たサービスも初めようとしている。こちらも地味に気になる。

バックアップサービスのBackblazeがAmazon S3の1/4の料金でクラウドストレージサービスを立ち上げ | TechCrunch Japan

Backblazeのサービスの料金は、AWSのとても遅いコールドストレージサービスAmazon Glacierの半額、通常のS3サービスの1/4だ。

大容量のデータを持つと地味にコストがかかる

本の自炊などで資産価値の高いデータをが溜まってくると、データをバックアップし続けるコストを意識せざるをえない。PCのハードディスクはいつ壊れてもおかしくない消耗パーツなので、最低でも2台以上のHDDに保存しないと冗長性が確保できない。昔みたいにDVD-Rへ定期的にバックアップすることも現実的ではなくなった。

自分の大切なデータをできるだけ安全かつお金のかからない方法で維持するするに、Backblazeのようなコストパフォーマンスの高いサービスを活かしていきたい。

※投稿内容は私個人の意見であり、所属企業・部門見解を代表するものではありません。