"この投稿はいわゆる退職エントリという奴です。\n2年6カ月エンジニアとしてお世話になった株式会社LIGを退職し、2018年3月から某外資系SIerへ転職しました。\n普通は逆パターンの見出し(SIerを辞めてWeb系に転職、的なやつ)が多いので釣りでこの記事タイトルにしてみました。が、実際「Web系」と言うと大抵意味するのは「Web系事業会社」ですよね。なので、受託が主なLIGとは文脈が違うと思います。\nさらに言うと僕の場合は一般的なエンジニアのキャリアではないので、普通の技術職の人には参考にならないかもしれません。\nむしろ、デザイン系の職種にもこんなキャリアパスがある、という一つの事例として読んでいただけたらと思います。特にデザイナーとエンジニアをうろうろしている人にとっても有用な内容かもしれません。\n これまでの経歴とキャリア志向 僕のキャリアの方向性は、「ソフトウェア方面に強みを持ったアートディレクターやそれに相当する立場を目指す」というものです。\nもともと僕には、世の中を良くするデザインを学びたくて美術大学へ行ったにも関わらず、絵を描くのが嫌いすぎて中退してしまった過去があります。その挫折の中、表現力では到底かなわない美大卒エリートにどうやったら勝てるのか考えた結果辿りついたのが上記の方針です。\n1社目 零細ベンダー兼デザイン制作会社 ロール:デザイナー(グラフィック・エディトリアル・Web・UI) 制作のほか、自社製品の導入提案やカスタマイズの要件定義にも参加 期間:21歳〜27歳の間、約6年弱勤務 規模:入社時3人→20人規模まで拡大 1社目ではデザイナーとして順当に経験を得つつ、システム開発や実装といった技術的な領域を経験するにつれ、エンジニアとしてのスキルにも興味が湧くようになってきました。\nそういった背景のもと、「より優れたデザイナーへなるにしても、より技術面での評価を得るためにも、このままデザイナーを続けるよりも一度技術者としての経験が欲しい」という動機で2社目のLIGへ転職した経緯があります( 僕のデザイナーからエンジニアへの転職は成功したのか)。\n2社目 Web制作会社(株式会社LIG) ロール:Webフロントエンドエンジニア Webサイト制作の要件定義から実装まで幅広く担当 オフショアも経験 期間:27歳〜29歳の間、約2.5年勤務 規模:関係部署は50人前後の規模感 現在はエンジニアとしての経験も得る中、元々の方向性を更に具体化して「エンジニアとデザイナーの両方の経験を元に、技術面とデザイン面を横断的にマネジメントできる人材になる」というキャリアゴールを設定しています。つまりプロマネ兼アートディレクターです。あまりそういう役職の人は聞いたことがありませんが、希少性もあり今後高い需要が期待できると踏んでいます。\n技術とデザインの両面を動かせる立場になれれば、昔からやりたかった「世の中を良くするデザイン」をITの世界で実現できます。そうすれば美大卒エリートを出し抜くこともできるでしょう!\n転職への経緯 2016〜2017年の初めにかけての気分 もともとLIGには3年はいるつもりだったので、積極的な転職活動はせず、余程良さそうな話なら聞きにいってもいいくらいのスタンスでした。ただ、30歳手前というのは転職の好機でもあるので年末くらいからはじっくり考えたいな……と思ってはいました。\n使っていたサービスはLinkedInのみです。また、転職エージェントさんからのお話は基本的に断っていました(メッセージのテンプレ感がすごいので信用ならないのと、彼らも営業なのでノルマ的なものに追われているだけかも……と思うと、自分のキャリア志向を理解してくれるとは思えなかったため)。\n2017年・年始 そんな中、ある会社の人事からダイレクトリクルーティングの話を受け、これをきっかけに転職への関心が大きく高まりました。この会社を適当にa社とします。a社は外資系コンサルティングファームで、SIer業界では最大手の会社のひとつです。\n僕はそれまで、次のような理由からSIer業界にはほとんど興味がありませんでした。\n 散々ネットで言われているように、SIer業界全体への印象が悪い 最上流の会社に自分の経歴で行けるはずがないと思っていた しかし、ネームバリュー・待遇・仕事の規模や得られる経験の価値を考えると、a社はかなり魅力的な環境に思えました。\n結局a社の採用は最終選考で落とされてしまったのですが、これをきっかけに転職への関心がすこし高まりました。また、このときのa社との関わりは最終的な転職結果にも大きな影響がありました。\n2017年・秋〜冬 最初に書いたように僕は転職エージェントを利用しない主義だったのですが、たまたまとても信頼できるエージェントさんと出会いました。春の出来事もあり、その方には何社か紹介をしてもらうことになりました。\n世の中的にも注目度が高い優良企業ばかりで、色々な可能性に思いを馳せ、自分の今後のキャリアを考える上で良い経験となりました。ブログとしては今綺麗に自分のキャリア志向をまとめていますが、それができたのはこの期間があったおかげです。\n本当に良いエージェントさんだったのですが、最終的にはこのエージェントさんとは関係のない所で転職先が決まることになりました。\n2017年・年末 冬頃になり、再びLInkedInでダイレクトリクルーティングを受けました。ここが今回の転職先です。この会社は、春に最終面接で落とされたa社の関連会社でした。リクルーティングが被ったのは本当に偶然だったようでしたが、a社の件は志望動機としても自然で、とてもスムーズに話が進みました。\n今回の転職先 外資系コンサルティングファーム ロール:ITコンサルタント(アナリスト) (基本的にはこれまでやってきたデザインやフロントエンド開発に近い領域を担当) 規模:国内のみで500人程度 面接で受けた印象: 社風や仕事の内容はa社とあまり変わらず、a社と仕事をする機会も多いという説明 自分の経歴・強み・キャリアの方向性に対して強く価値を見出してくれた a社との件を話すととても好意的だった LIGに転職したときもそうでしたが、**最初の面接で「あ、これはいいかもしれない」という直感が双方に合ったように思います。**あっという間に面接が進み、スピーディに内定をもらうことができました。\nSIerに行った理由 以前から年収レンジの高い業界へ行きたかったから 僕はデザインという仕事を愛しています。しかし、制作業やクリエイティブ職という業界のくくりで考えてしまうと、職能的に近接している他のIT関係の職種と比べて年収レンジが低いという悲しい現実があります。\n 平均年収ランキング2017(153職種の平均年収/生涯賃金) |転職ならDODA(デューダ) 1社目の会社でこんな体験がありました。\n1社目の会社では自社製システムの開発・販売とデザイン制作の両方の事業をやっていたのですが、そこでは圧倒的にシステムの販売やカスタマイズの方が儲かっていました。そのシステムが売れるのは会社がデザイン的な強みを持っているおかげだったのですが、一方でデザインだけを売り物にする制作業はたいした儲けにはなっていなかったのです。\n僕は「デザインには大きな価値があるけど、制作業というビジネスは儲からない」という現実をそこから学びました。\n(広告業界のトップにいるようなデザイナーであれば違うと思いますが、それこそ美大卒エリートに勝てないのでその方向性は却下です)\n……こういった訳で、エンジニアとしての実績を得たら、その経歴を元にもっと年収レンジの高い業界へ移動したいという気持を前々から持っていました。\nやりたいことができそうだから 僕の今のキャリアゴールと野望を並べるとこのようになります。\n エンジニアとデザイナーの両方の経験を元に、技術面とデザイン面を横断的にマネジメントできる人材になる 世の中を良くするデザインをITの世界で実現する 美大卒エリートを出し抜く 僕が想定する美大卒エリートとは、電博とかクリエイティブエージェンシーで大活躍するイケイケの広告プランナーやアートディレクターです。\n僕は表現面では勝負を諦めているので、地味でも何でも良いので、デザインを通して彼らに匹敵するくらい世の中に影響を与える結果を残したいと思っています。上流のSIで出世すれば自分の野望の実現へも直結するはずです。\n自分の好みや強みが生きるから SIerというとコードを書くよりも書類ばっか作らなきゃいけない的な評判があり、一般的にはマイナスイメージになっていると思います。\nその点、僕はグラフィックデザインもやってきたのでレイアウトや図解を作るのは得意で好きな上、技術記事をQiitaやLIGブログで書いてきたのでライティングも好きです。\n色々な人から珍しいと言われますが、僕はかなりドキュメント作りを好きな自覚があります。\n 提案や上流工程が好き チケットを書くのが好き 図で考えるのが好き Redmineの活用術など、PM的スキルへの理解がある 綺麗なスライド資料が作れる こういった自分の好み・強みはSIer/ITコンサルの求めるスキルとマッチしていると思えました。\n一度大企業へ行ってみたかったから 1社目が数人規模のスタートアップ、2社目が会社全体で見れば100人規模のベンチャーだったので、大企業が組織としてどれくらい成熟しているのかを見てみたい、という好奇心がありました。\n外資系だから これまで社長が30代の会社だけを渡り歩いてきたので、ザ・日本企業みたいなのは自分に合わないと思っています。その点、外資系なら評価面でシビアなところはあっても、理屈が通らない理不尽な目にはあわないのではないかという期待があります。\nまた、長期的には英語スキルを身に付けていきたいので、英語を使う機会が多い環境に身を置けるメリットもあります。\nメリットがデメリットを上回ると決断したから とある会社に面談で訪れた際、人事の方が話してくれたアドバイスにこういったものがありました。\n 今いる会社に色々なパラメータがあるとして、その全部のパラメータが伸びるような転職は多分ありえない。だから、次の会社で伸びるであろうパラメータが、失う部分よりも価値があるかどうかをよく考えないと後悔する転職になってしまう。\n いつかLIGを卒業するつもりではいましたが、LIG自体に対して直接的な不満は全くありませんでした。**あんなに楽しい会社は後にも先にもLIGしかないでしょう。**LIGを辞めることで絶対に諦めざるを得ないメリットはたくさん考えられました。\n 同世代の同僚たちと、学生的なノリで終業後の時間を遊べる雰囲気 自宅よりも快適でくつろげるオープンスペース 楽しく談笑しながらお昼ご飯を作れるキッチン 個性的なクリエイター達と仕事や遊びを共にできる体験 こういったLIGにしかない部分に代えてでも転職する価値があるかどうかは、まさに「次の会社で伸びるであろうパラメータが、失う部分よりも価値があるかどうかをよく考えないと後悔する」ところです。\nまた、コンサルファーム/SIerは激務というウワサもあり、最悪鬱や病気で退職に追い込まれてしまうリスクもあります。\nそういったマイナス面とリスクを考えても、転職するメリットがあるという決断を下すことにしました。\n選ばなかった他の選択肢 こうして転職という型となりましたが、他にも可能性としてはありえたことと、なぜそれらを選ばなかったのかについても触れておきます。\nLIG内部やWeb制作業界で出世すること LIGもWeb制作も大好きなのですが、もっと規模の大きい仕事をしたかったことや、より利益率の高い業界へ行く優先度の方が高かったです。\n事業会社へ転職すること エンジニアとしての技術力を重視するなら、SIerよりもWeb系の事業会社の方が良いと言われている傾向があります。ただ、僕は基本的に同じことだけをやり続けると飽きてしまうのと、起業家的な0を1にする発想力が弱いので、\n 1つのプロダクトを何年もかけて育てる ゼロベースから事業のアイデアを考え、それを実現する といったことに今はあまり興味が湧きません。なので、自分の志向にマッチしていないという結論に至りました。元々の憧れが広告デザイナーなので、自分の中での花形はやっぱり受託なんだなーと思っています。\nフリーランスになること これは自分の勝手な印象でもあるのですが、フリーランスになってしまうとそれまで経験してきた規模の仕事でその先ずっと食っていくことになるのではないか、という懸念を感じました。\n大手SIerなら数億円規模のプロジェクトの上流から参加できますが、今の自分がフリーランスになってもそんなチャンスは巡ってこないでしょう。\nWeb制作が好きなのであれば、フリーランスは稼げる選択肢だと思います。ただ、今の自分の興味としては大規模で世の中への影響力が大きい仕事を経験したいという部分の方が大きいです。\n転職を通して学んだこと 20代後半の中堅所でITのスキルを持った人材、特にエンジニア系の職種は超売り手市場です。そうであるが故に、自分の行きたい方向性をしっかり設計してからでないと迂闊な選択をしてしまう危険も孕んでいるように思います。\n結局は自分が何をやりたいかを分析しなければならないと思うのですが、意外とすぐには判然としません。僕も、昨年の冬くらいなってようやくこの記事に書いているようなキャリア設計を言語化できるようになりました。\n(何を考えるべきかを一般的にまとめ、LIGでの最後の社内勉強会のネタとしてキャリア設計的な話をしました)\n\n社内での昇進や給与交渉をするにしても、転職で自分の強みや希望を面接で話すにしても、キャリア設計がはっきりしていないと主張が定まりません。日々仕事に追われているとつい自分の目指す方向が曖昧になってしまいますが、ときどき長期的な目標を考えたり修正したりする時間は大切だと思いました。(小波感)\n転職後の今の心境 大企業の持つリソースのすごさに圧倒されています。\nまだ案件についていないので何とも言えませんが、仕事では結構大変な目に会うんだろうなと覚悟しています。ワーカーホリックなタイプなので多分大丈夫だとは思いますが……。\nあと、LIGにはときどきOBが遊びに来ていたので、僕もたまには訪問しようーと思っています!\n"
"LIGでの最後の社内勉強会として、キャリア設計についての自分の考えをまとめました。\nスライド スライド(一部) "
"この記事はLIGアドベントカレンダー2017のための投稿です。\n僕は2015年に、それまでデザイナーとして勤めていた会社を退職してフロントエンドエンジニアとしてLIGに入社しました。今回は\n 当時の自分がなぜエンジニアとして転職したいと思ったのか 結果的にその選択が正解だったのか という事柄について、入社2年後の今、LIGのアドベントカレンダーという機会を通じて検討してみようと思います。\n※なお、以下「エンジニア」という言葉は「Webフロントエンドエンジニア」と同義としてお読みください。\nなぜエンジニアに転職しようと思ったのか 先日の投稿にも書きましたが、僕はデザインと技術は切り離すことができないものだと思っています。\nその上で、より優れたデザイナーへなるにしても、より技術面での評価を得るためにも、このままデザイナーを続けるよりも一度技術者としての経験が欲しいというのが動機の根幹でした。\nどんな環境でデザイナーをしていたか 前職では小さな会社でデザイナーをしていて、今思うと広い領域で仕事をしていました。\n 書籍装丁・雑誌制作といったエディトリアルデザインの仕事 Web制作・フロントエンド実装などのWebデザイナーの仕事 自社製品の導入提案・カスタマイズの要件定義・画面設計などSE的な業務 この会社の自社製品は、Webサイトと紙媒体の制作がワンソースでできることが売りの、非常にニッチなCMS製品でした。そのCMSの性質上、デザイナーは紙媒体とWebの両方がデザインできて、さらにシステム開発の側面へも理解がなければならなかったのです。\n初めての会社でとてもお世話になっていたのですが、入社5年目程度から徐々に転職を考えるようになっていました。\n自分より詳しい人がいない 転機の1つは、まわりに自分よりもWebフロントエンドに詳しい人がいない、という状況に段々退屈してきたことです。\n当時はWeb制作にSassやAltJS、Grunt/Gulpなどが定着し始めていた時期でしたが、社内でコマンドラインツールを使ってビルド環境を作れる人が自分しかいませんでした。他のデザイナーはそこへそんなに興味がある訳ではなく、やりたければ好きにやるという状況です。\nJavaScriptについてもCoffeeScriptでOOP的な実装を意識するようになっていたのですが、具体的にどう実装するのが正しいのかが、自分ではよく分かりませんでした。\n(サーバサイドエンジニアの同僚は、OOPはある程度分かるけどJavaScriptよく分からんという感じでした)\n表現が保守的 前職は業務の幅広さが求められる反面、エッジのある表現はあまり求められていませんでした。これは、自分でデザインしたものを自分で実装する以上、自分で作れないものはデザインできないという弱みもあったからだと思います。\n別にエッジのある表現をすごくやりたい訳ではなかったのですが、技術がないとデザインの幅も狭まってしまうというのが自分の中で問題意識としてありました。\n技術サイドの実績を客観的に評価してもらえないかも 最初に触れた通り、デザイナーといいつつ実装やSE的な業務にも手を出しおり、自分の中では技術寄りのこともやれる実績があると思っていました。たしかに社内であればそのことは信頼してもらえるでしょう。でも、転職市場ではどうでしょうか……?\nデザインと技術の両面を理解していることは非常に価値があると思うのですが、エンジニア職として雇われている実績がないと、その経験も正当に評価してもらえないのではないかという懸念を感じました。\nエンジニアになってみた感想 給料微減→元の水準に回復 転職直後は1割弱ほど元の給料から下がりました。これは未経験職種への転職ならある程度は仕方がないと思い、将来への投資として割り切りました。1年ほどで元の水準。2年目でちょっと上くらいまで回復したので不満はありません。\nデザイナーとしての経験はものすごく活きる デザイナーの経験はエンジニアになってからも有用でした。\n 資料作り → 説明/図が分かりやすいって言ってもらえる ヒアリング → 扱うものが違うだけで、デザインのヒアリングと本質は変わらない フロントエンド実装 → デザイナーが何をしたいのか調整や擦り合せがやりやすい これまでの技術サイドの経験も活きた 実装に関するスキルは、新しい環境でもおおむね通用するものでした。当然、デザイナーが片手間に実装するのと、エンジニアが本分として実装するのでは要求される水準が違います。自分のこれまでの経験がエンジニアとしても通用するのかどうかは不安でしたが、結果的になんとかなったのは幸いでした。\nほかにも要件策定・仕様化のためのヒアリングやドキュメントの作成をしたり、Redmineの導入を促進したりなど、SE的なスキルを活かすこともできました。\n 参考:打ち捨てられていたRedmineが復活するまでの軌跡 - Qiita 技術に詳しい同僚とたくさん出会えた あたり前なのですが、技術に詳しい同僚とたくさん出会えました。質問したり教えてもらったりレビューをしてもらったり……などで、デザイナーとして片手間に孤軍奮闘していたときに比べてかなりのスピード感で技術力が上がったと思います。\n体感的にはこれまででの2年分の成長を半年くらいで実現できたように思います。\n自分よりすごいデザイナーの作品を実装できる 明らかに自分よりも上手いデザイナーさんの作品を実装することが多いので、デザインにおいても勉強になります。今の環境でデザイナーとしての仕事をすることはありませんが、着実に色々なものを盗んでいると思います。\n 明らかに自分よりすごいデザインの例:LIG WORKS - Web制作実績 結論 一時的な年収減と、転職しなかった場合の年収増の可能性を犠牲にしての転職でしたが、そのリスクに見合う経験と環境を手に入れられたと思います。\nまた、LIGの環境は僕のように少人数でデザインも実装もやっていた人がステップアップする場所としてはとても良い環境だと感じます(デザイナーにしても、エンジニアにしても)。\n今後の自分の目標としては、エンジニア経験とデザイナー経験の両方が必要とされる場所にフィットする人材を目指していきたいと思っています。具体的には、プロジェクトマネージャーとアートディレクターが一緒になったようなものなのかもしれません……。\nそれでは、明日も引き続きLIGアドベントカレンダー2017をお楽しみください!\n"
"この記事はLIGアドベントカレンダー2017の為の投稿です。\nLIGではSTUDIO上野 by LIGというデジハリと提携したスクールをやっていて、昨年より『正しく理解するレスポンシブWebデザインの基礎と導入』という特別授業を担当しています。この投稿では、自分がフロントエンドエンジニアとしてなぜ授業をやってみようと思ったのか、また授業をやってみることでどんなメリットがあったのかを書きたいと思います。\n なぜ授業をやってみようと思ったのか 元上司への憧れ 私は前職の小さな会社でデザイナーをしていました。そのときの上司(もとい社長)にデザインの基礎を叩き込まれたのですが、その上司はグラフィックデザイン以外にも幅広いスキルを持っていました。\n自社製Webアプリが作れるほどプログラミングも得意でしたし(その製品は後々大手企業にも導入されました)、作った製品を売り込むためのほとんど完璧とも思えるプレゼンテーションの才能を持ち合わせていました。デザイン関係の著書も数冊あり、雑誌に寄稿したり講演を行なったりと、アウトプットも欠かしませんでした。\nその人のもとで最初の社会人経験を積んだ結果、自分のロールモデルとして影響を強く受けています。基本的に技術とデザインは分けて考えられないという信条は彼に依るものですし、QiitaやLIGブログで情報発信するのも同じ理由です。その上司はかつて専門学校の講師をやっていたこともあり、それであんなにスピーチも上手いのかと尊敬を抱いていました。\nこういった訳で、講師をすることは僕の中のいつかはやってみたい経験の一つでした。社内でレスポンシブWebデザインの講師の募集がかかったとき、パッと自分が手を上げたのはそんな理由からです。\nプレゼンスキルの維持 また、LIGへ来たときデザイナーからエンジニアに転職したことで、以前に比べて仕事上でプレゼンをする機会が減っていたことも理由のひとつです。プレゼンテーションや人前でスピーチするスキルを維持する上でも丁度良い機会に思えました。\n授業の内容 STUDIO上野には色々なバックグラウンドを持った受講者が集まっていますが、基本的にはHTML、CSSの最初の一歩を習ったばかりの初心者が中心です。カリキュラムも確認しましたが、普通に考えればレスポンシブデザインをちゃんと理解するにはまだ知識が不足しています。\nまた、実際のWeb制作ではレスポンシブデザインの他に、いわゆるPC/SP切り替え型のサイトというものもあります。どちらもマルチデバイスに対応するための技術ですが、技術的、デザイン的にどういった棲み分けがあるのかを正しく理解し、案件の性質に応じて使い分ける必要があります。\nそのため、前提となる基礎知識を補完しつつレスポンシブデザインと切り替え型の使い分けを説明し、技術職以外の人にもそれを理解してもらう、ということを授業のコンセプトとして据えました。これを2時間の枠の中で説明しきるのはちょっと大変です。\n最終的に、全体の構成は次のようにしました。\n冒頭で前提となる概念を丁寧に説明してから、レスポンシブデザインと切り替え型の相違やメリットデメリットを解説し、最後に小テストを通じて内容の再確認と定着を図る構成となっています。特に小テストの最後では、クライアントワークを想定して自分なりにレスポンシブデザインと切り替え型のどちらを提案するのかを考える難易度の高い問題になっています。\n小テストの実施には、Googleフォームがとても役に立ちました。選択式問題であれば自動採点ができます。記述式問題であっても、あらかじめ解説や模範回答を仕込めるので、テスト実施後の解説がとてもスムーズに行えました。\nやってみてよかったこと 1時間以上一人でスピーチできるようになる それまでで経験した一番長いスピーチが30分くらいでしたが、1時間以上かけてスピーチするのにも大分慣れてきました。技術者向けの緩いLTなどと比べて全体的に雰囲気は堅く、言葉に詰まっても誰もフォローしてくれないので度胸が付きます。もともと話すのが得意なタイプではないのですが、段取りや資料がちゃんとしていれば話すのがそんなに怖くなくなったと思います。\n発表者らしい立ち振る舞いを実践できる 最近はワイヤレスコントローラーでスライドを進め、自分は壇上をうろうろしながら話すスタイルが気に入っています。ちょっと身振りとか入れるとTEDみたいで格好良いかも! と楽しみながらやる余裕も出てきましたw\n(上)授業のために買ったコントローラー。PCを触らずにスライドをめくれるため、かなり使えます。\n実績になる デジハリ関連のスクールで授業を持っているというのは、自分のスキルをアピールする上でちょっとした実績にもなり得ます。初心者に複雑な事柄を説明できるということは、顧客に対してもそれができるというアピールに繋がります。\n回数を重ねるほど上手くなる 細かいアドリブはあれど、基本的な授業の構成は毎回変わりません。なので、講義を重ねるほど自分の説明も上手くなってきている、という実感があります。\n思ったほど大きな負担ではない 特別授業の頻度はそれほど高くないため、本格的な副業に比べれば大きな負担ではありません。また、本業とは別でちょっとした手当も発生します。\n最初の1回目は資料づくりなども含めて大変ですが、それ以降の負荷はあまりありませんでした。もっとも、Webの環境は日々変化しているため、ときおり最新の状況に合わせて内容を更新することは続けています。\nやる気あふれる受講者と会える 講義が終わったあとに質問を受けることも多いのですが、熱意に溢れた人が多くてとても刺激を受けます。今はたまたま自分が教える立場ですが、今にこんな人には追い抜かれてしまうかも、と焦りを感じることもあるくらいです。\n覚えてもらえるかも デザイン業界、IT業界はそう広くありません。この先、いつどんな形で受講者の方々と再開するとも限りません。そういったときに「あのときの⋯」という縁があればこれほど嬉しいものもないと思います。あまりそこへ期待するのも行き過ぎだと思いますが、そんな可能性もあると思うと良い授業を提供しなければという気持ちになりますね!\n本業では得られない経験 授業を持つことで、いつかやりたかったことが実現し、自分にとっても良いプラスになったと思います。人に分かりやすく概念を話す説明力や、人前でスピーチするプレゼン力を鍛える上でとても良い経験となりました。こういった面白いチャンスが転がっているのは、間違いなくLIGという会社の良いところだと思います!\nそれでは、明日も引き続きLIGアドベントカレンダー2017をお楽しみください!\n"