"この投稿はいわゆる退職エントリという奴です。\n2年6カ月エンジニアとしてお世話になった株式会社LIGを退職し、2018年3月から某外資系SIerへ転職しました。\n普通は逆パターンの見出し(SIerを辞めてWeb系に転職、的なやつ)が多いので釣りでこの記事タイトルにしてみました。が、実際「Web系」と言うと大抵意味するのは「Web系事業会社」ですよね。なので、受託が主なLIGとは文脈が違うと思います。\nさらに言うと僕の場合は一般的なエンジニアのキャリアではないので、普通の技術職の人には参考にならないかもしれません。\nむしろ、デザイン系の職種にもこんなキャリアパスがある、という一つの事例として読んでいただけたらと思います。特にデザイナーとエンジニアをうろうろしている人にとっても有用な内容かもしれません。\n これまでの経歴とキャリア志向 僕のキャリアの方向性は、「ソフトウェア方面に強みを持ったアートディレクターやそれに相当する立場を目指す」というものです。\nもともと僕には、世の中を良くするデザインを学びたくて美術大学へ行ったにも関わらず、絵を描くのが嫌いすぎて中退してしまった過去があります。その挫折の中、表現力では到底かなわない美大卒エリートにどうやったら勝てるのか考えた結果辿りついたのが上記の方針です。\n1社目 零細ベンダー兼デザイン制作会社 ロール:デザイナー(グラフィック・エディトリアル・Web・UI) 制作のほか、自社製品の導入提案やカスタマイズの要件定義にも参加 期間:21歳〜27歳の間、約6年弱勤務 規模:入社時3人→20人規模まで拡大 1社目ではデザイナーとして順当に経験を得つつ、システム開発や実装といった技術的な領域を経験するにつれ、エンジニアとしてのスキルにも興味が湧くようになってきました。\nそういった背景のもと、「より優れたデザイナーへなるにしても、より技術面での評価を得るためにも、このままデザイナーを続けるよりも一度技術者としての経験が欲しい」という動機で2社目のLIGへ転職した経緯があります( 僕のデザイナーからエンジニアへの転職は成功したのか)。\n2社目 Web制作会社(株式会社LIG) ロール:Webフロントエンドエンジニア Webサイト制作の要件定義から実装まで幅広く担当 オフショアも経験 期間:27歳〜29歳の間、約2.5年勤務 規模:関係部署は50人前後の規模感 現在はエンジニアとしての経験も得る中、元々の方向性を更に具体化して「エンジニアとデザイナーの両方の経験を元に、技術面とデザイン面を横断的にマネジメントできる人材になる」というキャリアゴールを設定しています。つまりプロマネ兼アートディレクターです。あまりそういう役職の人は聞いたことがありませんが、希少性もあり今後高い需要が期待できると踏んでいます。\n技術とデザインの両面を動かせる立場になれれば、昔からやりたかった「世の中を良くするデザイン」をITの世界で実現できます。そうすれば美大卒エリートを出し抜くこともできるでしょう!\n転職への経緯 2016〜2017年の初めにかけての気分 もともとLIGには3年はいるつもりだったので、積極的な転職活動はせず、余程良さそうな話なら聞きにいってもいいくらいのスタンスでした。ただ、30歳手前というのは転職の好機でもあるので年末くらいからはじっくり考えたいな……と思ってはいました。\n使っていたサービスはLinkedInのみです。また、転職エージェントさんからのお話は基本的に断っていました(メッセージのテンプレ感がすごいので信用ならないのと、彼らも営業なのでノルマ的なものに追われているだけかも……と思うと、自分のキャリア志向を理解してくれるとは思えなかったため)。\n2017年・年始 そんな中、ある会社の人事からダイレクトリクルーティングの話を受け、これをきっかけに転職への関心が大きく高まりました。この会社を適当にa社とします。a社は外資系コンサルティングファームで、SIer業界では最大手の会社のひとつです。\n僕はそれまで、次のような理由からSIer業界にはほとんど興味がありませんでした。\n 散々ネットで言われているように、SIer業界全体への印象が悪い 最上流の会社に自分の経歴で行けるはずがないと思っていた しかし、ネームバリュー・待遇・仕事の規模や得られる経験の価値を考えると、a社はかなり魅力的な環境に思えました。\n結局a社の採用は最終選考で落とされてしまったのですが、これをきっかけに転職への関心がすこし高まりました。また、このときのa社との関わりは最終的な転職結果にも大きな影響がありました。\n2017年・秋〜冬 最初に書いたように僕は転職エージェントを利用しない主義だったのですが、たまたまとても信頼できるエージェントさんと出会いました。春の出来事もあり、その方には何社か紹介をしてもらうことになりました。\n世の中的にも注目度が高い優良企業ばかりで、色々な可能性に思いを馳せ、自分の今後のキャリアを考える上で良い経験となりました。ブログとしては今綺麗に自分のキャリア志向をまとめていますが、それができたのはこの期間があったおかげです。\n本当に良いエージェントさんだったのですが、最終的にはこのエージェントさんとは関係のない所で転職先が決まることになりました。\n2017年・年末 冬頃になり、再びLInkedInでダイレクトリクルーティングを受けました。ここが今回の転職先です。この会社は、春に最終面接で落とされたa社の関連会社でした。リクルーティングが被ったのは本当に偶然だったようでしたが、a社の件は志望動機としても自然で、とてもスムーズに話が進みました。\n今回の転職先 外資系コンサルティングファーム ロール:ITコンサルタント(アナリスト) (基本的にはこれまでやってきたデザインやフロントエンド開発に近い領域を担当) 規模:国内のみで500人程度 面接で受けた印象: 社風や仕事の内容はa社とあまり変わらず、a社と仕事をする機会も多いという説明 自分の経歴・強み・キャリアの方向性に対して強く価値を見出してくれた a社との件を話すととても好意的だった LIGに転職したときもそうでしたが、**最初の面接で「あ、これはいいかもしれない」という直感が双方に合ったように思います。**あっという間に面接が進み、スピーディに内定をもらうことができました。\nSIerに行った理由 以前から年収レンジの高い業界へ行きたかったから 僕はデザインという仕事を愛しています。しかし、制作業やクリエイティブ職という業界のくくりで考えてしまうと、職能的に近接している他のIT関係の職種と比べて年収レンジが低いという悲しい現実があります。\n 平均年収ランキング2017(153職種の平均年収/生涯賃金) |転職ならDODA(デューダ) 1社目の会社でこんな体験がありました。\n1社目の会社では自社製システムの開発・販売とデザイン制作の両方の事業をやっていたのですが、そこでは圧倒的にシステムの販売やカスタマイズの方が儲かっていました。そのシステムが売れるのは会社がデザイン的な強みを持っているおかげだったのですが、一方でデザインだけを売り物にする制作業はたいした儲けにはなっていなかったのです。\n僕は「デザインには大きな価値があるけど、制作業というビジネスは儲からない」という現実をそこから学びました。\n(広告業界のトップにいるようなデザイナーであれば違うと思いますが、それこそ美大卒エリートに勝てないのでその方向性は却下です)\n……こういった訳で、エンジニアとしての実績を得たら、その経歴を元にもっと年収レンジの高い業界へ移動したいという気持を前々から持っていました。\nやりたいことができそうだから 僕の今のキャリアゴールと野望を並べるとこのようになります。\n エンジニアとデザイナーの両方の経験を元に、技術面とデザイン面を横断的にマネジメントできる人材になる 世の中を良くするデザインをITの世界で実現する 美大卒エリートを出し抜く 僕が想定する美大卒エリートとは、電博とかクリエイティブエージェンシーで大活躍するイケイケの広告プランナーやアートディレクターです。\n僕は表現面では勝負を諦めているので、地味でも何でも良いので、デザインを通して彼らに匹敵するくらい世の中に影響を与える結果を残したいと思っています。上流のSIで出世すれば自分の野望の実現へも直結するはずです。\n自分の好みや強みが生きるから SIerというとコードを書くよりも書類ばっか作らなきゃいけない的な評判があり、一般的にはマイナスイメージになっていると思います。\nその点、僕はグラフィックデザインもやってきたのでレイアウトや図解を作るのは得意で好きな上、技術記事をQiitaやLIGブログで書いてきたのでライティングも好きです。\n色々な人から珍しいと言われますが、僕はかなりドキュメント作りを好きな自覚があります。\n 提案や上流工程が好き チケットを書くのが好き 図で考えるのが好き Redmineの活用術など、PM的スキルへの理解がある 綺麗なスライド資料が作れる こういった自分の好み・強みはSIer/ITコンサルの求めるスキルとマッチしていると思えました。\n一度大企業へ行ってみたかったから 1社目が数人規模のスタートアップ、2社目が会社全体で見れば100人規模のベンチャーだったので、大企業が組織としてどれくらい成熟しているのかを見てみたい、という好奇心がありました。\n外資系だから これまで社長が30代の会社だけを渡り歩いてきたので、ザ・日本企業みたいなのは自分に合わないと思っています。その点、外資系なら評価面でシビアなところはあっても、理屈が通らない理不尽な目にはあわないのではないかという期待があります。\nまた、長期的には英語スキルを身に付けていきたいので、英語を使う機会が多い環境に身を置けるメリットもあります。\nメリットがデメリットを上回ると決断したから とある会社に面談で訪れた際、人事の方が話してくれたアドバイスにこういったものがありました。\n 今いる会社に色々なパラメータがあるとして、その全部のパラメータが伸びるような転職は多分ありえない。だから、次の会社で伸びるであろうパラメータが、失う部分よりも価値があるかどうかをよく考えないと後悔する転職になってしまう。\n いつかLIGを卒業するつもりではいましたが、LIG自体に対して直接的な不満は全くありませんでした。**あんなに楽しい会社は後にも先にもLIGしかないでしょう。**LIGを辞めることで絶対に諦めざるを得ないメリットはたくさん考えられました。\n 同世代の同僚たちと、学生的なノリで終業後の時間を遊べる雰囲気 自宅よりも快適でくつろげるオープンスペース 楽しく談笑しながらお昼ご飯を作れるキッチン 個性的なクリエイター達と仕事や遊びを共にできる体験 こういったLIGにしかない部分に代えてでも転職する価値があるかどうかは、まさに「次の会社で伸びるであろうパラメータが、失う部分よりも価値があるかどうかをよく考えないと後悔する」ところです。\nまた、コンサルファーム/SIerは激務というウワサもあり、最悪鬱や病気で退職に追い込まれてしまうリスクもあります。\nそういったマイナス面とリスクを考えても、転職するメリットがあるという決断を下すことにしました。\n選ばなかった他の選択肢 こうして転職という型となりましたが、他にも可能性としてはありえたことと、なぜそれらを選ばなかったのかについても触れておきます。\nLIG内部やWeb制作業界で出世すること LIGもWeb制作も大好きなのですが、もっと規模の大きい仕事をしたかったことや、より利益率の高い業界へ行く優先度の方が高かったです。\n事業会社へ転職すること エンジニアとしての技術力を重視するなら、SIerよりもWeb系の事業会社の方が良いと言われている傾向があります。ただ、僕は基本的に同じことだけをやり続けると飽きてしまうのと、起業家的な0を1にする発想力が弱いので、\n 1つのプロダクトを何年もかけて育てる ゼロベースから事業のアイデアを考え、それを実現する といったことに今はあまり興味が湧きません。なので、自分の志向にマッチしていないという結論に至りました。元々の憧れが広告デザイナーなので、自分の中での花形はやっぱり受託なんだなーと思っています。\nフリーランスになること これは自分の勝手な印象でもあるのですが、フリーランスになってしまうとそれまで経験してきた規模の仕事でその先ずっと食っていくことになるのではないか、という懸念を感じました。\n大手SIerなら数億円規模のプロジェクトの上流から参加できますが、今の自分がフリーランスになってもそんなチャンスは巡ってこないでしょう。\nWeb制作が好きなのであれば、フリーランスは稼げる選択肢だと思います。ただ、今の自分の興味としては大規模で世の中への影響力が大きい仕事を経験したいという部分の方が大きいです。\n転職を通して学んだこと 20代後半の中堅所でITのスキルを持った人材、特にエンジニア系の職種は超売り手市場です。そうであるが故に、自分の行きたい方向性をしっかり設計してからでないと迂闊な選択をしてしまう危険も孕んでいるように思います。\n結局は自分が何をやりたいかを分析しなければならないと思うのですが、意外とすぐには判然としません。僕も、昨年の冬くらいなってようやくこの記事に書いているようなキャリア設計を言語化できるようになりました。\n(何を考えるべきかを一般的にまとめ、LIGでの最後の社内勉強会のネタとしてキャリア設計的な話をしました)\n\n社内での昇進や給与交渉をするにしても、転職で自分の強みや希望を面接で話すにしても、キャリア設計がはっきりしていないと主張が定まりません。日々仕事に追われているとつい自分の目指す方向が曖昧になってしまいますが、ときどき長期的な目標を考えたり修正したりする時間は大切だと思いました。(小波感)\n転職後の今の心境 大企業の持つリソースのすごさに圧倒されています。\nまだ案件についていないので何とも言えませんが、仕事では結構大変な目に会うんだろうなと覚悟しています。ワーカーホリックなタイプなので多分大丈夫だとは思いますが……。\nあと、LIGにはときどきOBが遊びに来ていたので、僕もたまには訪問しようーと思っています!\n"
"多くの下請け案件では、デザイナーが具体的な成果物を作り始める段階で、既に重要な要件があらかじめ決まってしまっています。\nデザイナーが上流工程に参加していない場合、デザイナーはプロジェクトを通して解決するべき課題を真に理解したり掘り下げる機会を失なったままデザインすることになります。既に仕様が固まっている中では、ボトムアップでの改善にも限界があります。こうしてデザインの視点を欠いた駄目な製品が生まれてしまうのです。\nそのため、僕はデザイナー時代から上流工程にコミットできる案件が好きです。顧客の要求の理解と要件の選択というコンサルティングは、そのプロダクトとプロジェクトの性質をほとんど決めてしまう重要な工程です。そこへデザインの視点がないプロダクトはひどいものになってしまうでしょう。これまでも、LIGブログの記事などで上流工程の重要性を説明してきました。\n デザインワークと上流工程の意外な共通点とは?元デザイナーのエンジニアが解説します | それいけ!フロントエンド Web制作者のための上流工程の簡単な説明 今回の勉強会資料では、ソフトウェア開発の視点だけではなく、ものづくりやデザインという大きな文脈から要件定義の重要性を説明する内容となっています。\nスライド 抜粋 "
"社内勉強会資料。Web制作では、システム開発に比べ、上流工程が軽視されがちな印象を持っています。このスライドでは、上流工程とは何をするフェーズであるのかを、システム開発の一般的な工程であるVモデルを軸に紹介しています。\nスライド スライド(一部) "
"社内勉強会資料。制作系のフロントエンド技術者向けに、ソフトウェアテストについて概要をまとめたスライドです。\n本資料に関連し、『Pairwiser』について更に掘り下げた記事『Webアプリのテスト工数を削減できるかもしれないペアワイズ法とPairwiser』もQiitaに公開しています。\nスライド 参考資料 知識ゼロから学ぶソフトウェアテスト 【改訂版】 第1回 組み合わせテストの技法:組み合わせテストをオールペア法でスピーディに!|gihyo.jp …… 技術評論社 現場で使うためのオールペア法、直交表の基本(2):組み合わせテストを科学的に効率化する――手法とツール、品質保証のための道具 (1/3) - @IT Pairwiseテスト導入の効果と課題 Pairwiseは大規模パッケージソフトウェアで効果的に運用できるか 直行表とオールペア法の並行運用によるソフトウェアテスト 手法と強さ、印紙、水準の選択ガイドライン Pairwiser - Pairwise Testing and Test Generation Tool PictMaster プロジェクト日本語トップページ - OSDN スライド(一部) "